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安定した高収益を生み出す”田舎戦略”のススメ

安定した高収益を生み出す”田舎戦略”のススメ

ある街のタバコ屋のおばあちゃんの物語

さてさて、昨日の日記の続きです。

その前にキーワードの確認をします。
”オリジナリティ””ONLY1””農夫商人と狩人商人””自己変革””本来の自分”。
キーワードが増えてきましたね。

(もう少し増えた場合、内容とキーワードの整理をする必要があるかもしれません)


昨日の日記で私は
「そして、本来の自分に戻ることでオリジナリティを生み出すには、あるパターンを踏む必要があります。」
と書きました。

パターンというか、ステップですね。
あるステップを踏むことで、人は本来の自分らしさに近づくことが出来るのです。

しかし、そのステップがどういうものなのか?を直接語る前に、ある物語を読んでもらいましょう。

「ある街のたばこ屋のおばあちゃんの物語」

この物語は実は私がポジショニング構築のステップを説明するために書いたもです。
そしてそこにはオリジナルな魅力を軸に商売を構成するために必要なステップも同時に語られています。

ストーリーそのものは偶発性を盛り込んでいますが、この物語に語られているステップを知ることで、その次からはある程度意識的にそれを演出することも可能になります。


能書きはこの程度で。
まずはじっくり読んでみてください。

突っ込んだ解説は、明日書きましょう。


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「ある街のタバコ屋のおばあちゃんの物語」




 1・ウメばあちゃんの場合

 ウメばあちゃんはこの街でずっと煙草を売ってきました。
 しかし、最近は売上もめっきり落ちて日に2?3人のお客さんしかありません。
 もちろん年金生活なので支障はありませんがたまにおばあちゃんは考えます。
「昔はよかったなぁ」と。

 ある日ウメばあちゃんは店番をしながらついウトウトしていました。
 無理もありません。日に何度かしかないお客さんのためにずっと店番をするのは退屈です。
 ウトウトしていたウメばあちゃんにいきなりお客さんが
「ばあちゃん!寝てないでタバコ!」
 びっくりしたウメばあちゃんはついブツブツと不平をもらしてしまいました。
「おい、なんだよ。客商売だろ?愛想ぐらい良くしろよ」
 ガラの悪いお客さんです。
 しかし、この一言にウメばあちゃんははっと気がついたのです。

「ああ、昔は私は街一番の笑顔の可愛い女といわれたのに。いつからか笑顔を忘れていた・・・」

 その日からウメばあちゃんは少ないお客さんでも笑顔だけは忘れまいと心に誓い店番をするようになりました。

 そんなことがあってすぐのある日、1人の中学生の女の子が店に煙草を買いに来ました。
 すぐ近所の女の子です。お父さんのお使いでした。
 本当はこんな汚いタバコ屋には来たくなかったのです。少し行けばコンビニがあってタバコを売っています。
 でもコンビニでは煙草を子供には売ってくれません。
 お父さんに「一番近いところでいいから」と頼まれ仕方なく来たようなのです。
 ウメばあちゃんはそんなこの子にも出来るだけの笑顔を作って「お父さんのお使い?ご苦労様。ありがとうね」と言いました。

 一瞬キョトンとした女の子。
 でも、その次には恥ずかしそうにはにかみながら小さな声で「うん」と言って帰っていきました。

 その女の子はその日からちょくちょくタバコを買いに来るようになりました。
 どうやら休みになるとお父さんに「タバコ買う用ないの?」と言っているようです。
 ウメばあちゃんのところにタバコを買いに来ては、おばあちゃんの笑顔を見て嬉しそうに帰っていく女の子。
 ある日ウメばあちゃんは女の子に言いました。「よく来てくれるね」と。
 すると女の子は「だっておばあちゃんの笑顔が素敵だから!」
 嬉しそうにそう言って帰っていく女の子の後姿におばあちゃんは神様を見るようでした。

「ああ、そうか、こんな私でも笑顔だけで喜んでくれるお客さんがいるんだなぁ」

 ウメばあちゃんがポジショニングを獲得した瞬間です。

 その日からウメばあちゃんは笑顔だけはしっかりとと思い、朝に夕に笑顔の練習は欠かさず、さらには店頭にはこんな張り紙も出すようになったのです。

「若くなくたって看板娘
笑顔だけは若い娘よりも素敵です」

 そしてそれを裏付けるような満面の笑顔のおばあちゃん。
次第にその笑顔に引き寄せられるようにお客さんも増えてきたのでした。


2・マツばあちゃんの場合

 さて、そんなウメばあちゃんを見て悔しがったのは同じ町内でタバコ屋をやっているマツばあちゃんでした。
 かつてはウメばあちゃんと看板娘の人気を競い合ったライバルです。
「ウメさんばかりにいい思いはさせない」とばかりに対抗心を剥き出しにしてきたのです。

 このマツばあちゃん、まずはウメばあちゃんのところに連日偵察に行きました。
 そして分かったのはウメばあちゃんの人気の秘密が笑顔だということ。
「なんだ笑顔かい。簡単、簡単」
 その日からニコニコとウメばあちゃんばりに笑顔を作って店番を始めたマツばあちゃん。
 もちろん張り紙も忘れてません。

「笑顔の看板娘あり
年をとっても笑顔は笑顔、素敵です」

 中々いいセンスですね(笑)

 その張り紙と笑顔にだまされたお客さんが次第にマツばあちゃんのところにも集まるようになって来ました。
「やっぱり笑顔と張り紙がポイントだったんだよ」
 内心ほくそえむマツばあちゃん。

 しかし、ある日気がついたのです。
 確かにお客さんは増えてきている。
 でも、ウメばあちゃんほどのお客さんは来ていないのです。
 さらに追い討ちをかけて、流れる噂はウメばあちゃんの笑顔のことばかり。
そう、町内のタバコ屋というカテゴリーでウメばあちゃんの笑顔はいつしかブランド化してしまったのです。

「こんなはずじゃなかった」
 マツばあちゃんは焦りました。
 ウメばあちゃんに負けないよう、一生懸命笑顔を作って接客します。
 しかし、焦りからかいつしかマツばあちゃんの笑顔には無理が出てきたようです。
 マツばあちゃん自身、笑顔を作ることが段々と苦しくなってきました。

「こんなはずじゃなかった」
 マツばあちゃんはもう一度ウメばあちゃんのところへ偵察へ行くようになりました。
 相変わらず楽しそうに笑顔で接客するウメばあちゃん。
 でも、マツばあちゃんには何でそんなに楽しそうな笑顔が出せるのか分かりません。

 思い悩んだマツばあちゃんはとうとう店を開けることが出来なくなってしまいました。

 店を閉めたまま、毎日することもなくボーっとして過ごすマツばあちゃん。
 周囲はそんな様子を見て「ついにボケたか」と口さがない様子です。

 そんなある日、マツばあちゃんのところに懐かしい顔がやってきました。
 息子と一緒に都会に行った幼馴染の留吉さんがひょっこりと遊びに帰ってきたのです。
「おやおや、どうしたんだい?マツさんや」
 懐かしい顔に心の関が切れたマツばあちゃんはポロポロと涙をこぼします。
 そして留吉さんに言いました。

「私は悔しいよ。私の笑顔とウメさんの笑顔がどう違うってんだい」

 それを聞いた留吉さんは、はっはーとちょっといたずらっぽい笑顔で言いました。
「しょうがないわなぁ。ウメさんは笑顔だけが取り柄じゃったから。昔からのう」
 屈託のない留吉さんの笑顔にあっけにとられるマツばあちゃん。
留吉さんは続けます。
「笑顔じゃウメさんには勝てんなぁ。マツさんは笑顔じゃないじゃろう。マツさんは昔からわしの悩みをよく聞いてくれた。それによう気がつく人じゃった。それでええんじゃないかのう」
 マツばあちゃんはなんだかつき物が落ちたような表情をしました。
「そうか~。そうじゃねぇ。笑顔じゃ勝てないよねぇ。そんなもんやねぇ」

 次の日からマツばあちゃんは店を再開しました。
 もう無理な作り笑顔をすることはしません。
 その代りマツばあちゃんはお客さんの様子に注意するようになりました。
 そして、ちょっと元気がないお客さんには
「あんた最近さえないねぇ。何かあったん?」
 と声をかけ、話を聞いてあげるようにしたのです。

 最初の頃は中々恥ずかしがって話をしなかったお客さんも次第に心を開いて
 色々な悩みを話すようになりました。
 悩みを話せば話すほどマツばあちゃんに打ち解けていくお客さんが増えてきました。
 次第にマツばあちゃんにはファンが付くようになってきたのです。

 そして、いつの間にかマツばあちゃんは街角のお悩み相談ばあちゃんとして遠くから若い女の子が話をしに来るようになったのです。
 もちろんその頃にはそれがマツばあちゃんの商売になっていました。

 マツばあちゃんは悩みを話してくれたお客さんに最後に必ずこう言います。

「他人と張り合っても意味ないよ。あんたはあんたなんだかね」

                          おしまい







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